消費者からのトラブル相談を広く受け付けている国民生活センターは、令和2年2月、「賃貸住宅の敷金・原状回復トラブル」の最近の相談件数の推移と最近の相談内容事例を発表しました。事例としては、「賃貸マンションを解約したら、ペット特約を根拠に原状回復費用を過剰に請求された」や「5年間居住した賃貸アパートを退去したら、管理会社からクリーニング代や修繕費を請求された。高額で納得できない」などが挙げられています。
そして、事例の中に「十数年住んだ賃貸アパートを退去したA氏は、大家からの原状回復費用請求が高額であったため、国土交通省の『原状回復ガイドライン』を調べて反論したが、B氏が取り合ってくれず困っている」というものがあり、こちらが非常に興味深いものとなっています。なぜならば、いよいよ間近に迫ってきている20年4月の民法改正との関わりがあるからです。
解説をしますと、入居者であったA氏は、原状回復義務について「賃借人の故意・過失・善管注意義務違反・その他通常の使用(常識の範囲内の日常における使用)を超えるような使用によって生じた損壊等を修復する」と規定している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(平成10年に国土交通省が公表)を根拠に、大家に対して「日常の使用の範囲内での劣化であるから、原状回復の義務を負わない」と主張したのですが、おそらく大家は「ガイドライン」の規定に対し、遵守する義務を厳密には感じていなかった可能性があるのです。というのも、ガイドラインは法律ではなく、この場合はあくまで国土交通省が作成した敷金精算・原状回復に関する「指標」だからです(ただし、ガイドラインは確かに法律ではありませんが、この内容は裁判所の判例を中心にまとめられているため、多くのケースではガイドラインの内容にそって敷金精算を進めています)。























