この地上において今― 住まいが未来を語り始めた ◇8 住宅評論家 本多信博 「対症療法」の罪 いつまでも幸福になれない日本
住宅新報 2020年9月15日 号 11面

日本は今、超高齢社会を迎えているのに、高齢者から生きがいと、最も相応しい居場所を奪っている核家族化の流れを止めようとはしない。高齢者を一人暮らしさせない社会をつくることこそ、日本を幸福にするための本質的解決策となるはずなのだが
「花びらは散っても、花は散らない」――真宗大谷派の僧侶で仏教思想家、金子大栄の言葉だ。個としての人間は滅びても、自然の一部としてある命は永遠のものという思想だが、人は「そうした人間の本質を知ったうえで、どう生きるかが問われている」とも言える。つまり、本質を追究する目をもたなければ生きているとは言えないということだ。
本質を見抜く
物理学で言うところの「慣性の法則」は人間社会でも働いている。その一つが、既に時代的役割を終えた「核家族社会」がいまだに続いていることである。核家族化は日本の戦後の高度経済成長を支えた。しかし今、日本は超高齢社会を迎え、高齢者の生きがい、健康維持が大きな問題になっている。にもかかわらず核家族社会は高齢者からその最もふさわしい居場所と生きがいを奪っている。
















