ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 136 日本不動産仲裁機構 賃貸オーナーを小売電気トラブルから守る
住宅新報 2020年9月29日 号 8面
連載: ADRの現場から
電力自由化(小売電気自由化)は、旧一般電気事業者(北海道電力、東京電力、関西電力、等)により独占されていた、家庭などに向けた電力小売が16年4月に行われた法律の改正により全面自由化され、様々な業種の企業が電力の販売に参入できるようになったことをいいます。これにより、今までよりも多くの企業・電力会社が、地域の枠を超えてサービスを提供できるようになりました。消費者にとってメリットのあることですが、「今までガラッと変わった事象」には混乱がつきものであり、そこにつけ込んでくる悪徳事業者も存在しているため、トラブルが発生してしまうケースがあります。
例えば「電気と○○のセットにすれば安くなると言われ、求めていない商品をセット販売された」や「契約時に説明を受けていない費用について負担を求められた」などがあり、不動産業に関するものとしては賃貸アパートやマンションにおいてトラブルが発生することがあります。そして主なものは賃貸オーナーと事業者との間で起きています。トラブルの例を挙げると、「入居者の中の1人が小売電気契約をした場合、その影響が物件全体に及び停電の可能性があるので、物件全体で小売り電気契約を前もってしておきましょう」や「新たに電線を引く必要があるので、工事が必要です」と事業者から言われた、などです。
しかしこれは誤りで、小売電気の供給ルートは従来の電気と変わらないので、各戸で契約先が変わっても物件全体への影響はありませんし、既存の送電線・配電性線を経由して電気が送られるため、新しく電線が引かれることもありません。また、「小売電気を使用する場合は、スマートメーターを購入しなければなりません」と言われたケースがありますが、これも誤りです。スマートメーターは購入するものでなく、基本的に無料で設置してもらえるものです。このように、多くのトラブルは小売電気の仕組みをよく理解していない賃貸オーナーがターゲットにされているのです。























