この地上において今 住まいが未来を語り始めた ◇23 住宅評論家 本多信博 「人」とは何か 幸せの意味を問う小さな存在
住宅新報 2021年1月5日 号 15面

働くのも住まいを求めるのも幸せになるためなのだが、仕事とは何か、住まいとは何かなど普通はあまり考えない。まして、この地上、いや宇宙はなんのためにあるかなど普通は考えないものである
「働き方改革」の根本には仕事とは何かという問い掛けがなければならない。仕事の意味も分からず、働き方改革を論じても意味がない。仕事は「世のため人のため」にある。フランスの哲学者アランもこう言っている。「役に立つ仕事はそれ自体が喜びである。その喜びは、仕事から利益を得られるからではなく、その仕事そのものに起因している」。
つまり、「世のため人のため」の仕事が多い社会はいい社会だが、「自分のため、自分が属する組織のため」の仕事が多くなれば社会は悪化する。自分のために仕事をすることがなぜいけないのか。その理由はこうである。
自分のために仕事をしている人は、仕事に失敗したとき、世間に対して申し訳ないという気持ちがないから謝ることもなく、自分以外のところに言い訳を探す。それに対し、世のため人のために仕事をしている人は仕事に失敗したとき、世間に対して申し訳ないという気持ちが生まれ、失敗の原因を自分の未熟さに求める。そしてその経験を自分のものにすることができるから成長し、更にいい仕事をするようになる。

















