ADRの現場から 不動産会社が知っておくべきトラブル解決ノウハウ 165 オーナーチェンジに関する相談事例 日本不動産仲裁機構
住宅新報 2021年5月11日 号 11面
連載: ADRの現場から
「オーナーチェンジ」とは、投資用の一戸建てやマンションを、賃貸入居者がいる状態で物件の所有権を他の人間に転売することをいいます。物件を購入する側としてのメリットは、(1)既に入居者がいるため、当然収支の見通しが立てやすい、(2)ローンの審査に通りやすい、ということがあります。一方、デメリットは(1)家賃が相場より低くても変更しづらい、(2)購入前に室内を確認しづらい、(3)瑕疵の確認がしづらい、(4)個別の入居者とオーナーチェンジが起因するトラブルが発生する可能性がある、ということがあります。ここでは、(4)について、その相談事例を紹介します。
まずは、家賃を支払わない入居者に頭を抱えていたA氏です。A氏がオーナーチェンジ物件を購入したところ、その中の1室に購入時は知らなかったのですが、前所有者の親戚が居住しており、その人が家賃を支払わないのです。そして督促の訪問をした際に、「親戚(全所有者)から家賃はお金がある時だけ払ってくれたらいいと言われているから、家賃は支払わない」と言われてしまいました。A氏は当然納得できないために、督促を続けましたが、そのうちに鍵も変えられてしまいました。
A氏は、物件の売主からこのような話は聞いていなかったため、事情を聞いたところ、売主は「親戚に対して家賃を支払わなくてもいいなどとは決して言っていない。家賃滞納は現オーナーと入居者との問題だから、自分で解決して欲しい」と言われてしまいました。困ったA氏は、この親戚に条件付きの退去を依頼すべく、まずは話し合いの場を持ちたいと考えていました。






















