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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 353 諺と建築デザイン 時間の洗礼に勝てるか

住宅新報 2023年2月7日 号 10面

連載: 知って得する建物の豆知識

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  • 知って得する建物の豆知識 353 諺と建築デザイン 時間の洗礼に勝てるか

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原動力は功名心 建築デザインは、建築家の思想や美意識、造形哲学、社会認識などに根差しているのはもちろんですが、その原動力の大きな部分を占めるのは功名心、という建築家も少なくありません。その代表格がレム・コールハース(1944年・オランダ)ではないでしょうか。コールハースの基本コンセプトは「ちゃぶ台返し」であり、既存の建築的な造形をひっくり返すことが社会的なインパクトを与え、そのデザインの存在価値を高めると考えています。レム・コールハースは独特のスケール感を持ち、それほど大きくない建築物でも「巨大感」を感じさせます。「オランダの暴れん坊将軍」というあだ名そのままに、日本人の繊細なスケール感では追いつけないような造形を見せます。オランダ以外に作品の少ないコールハースですが、設計したマンション(築32年)が福岡にあり、数年前に2500万円で売り出されていました。

 「木に竹を継ぐ」とは「種類の全く異なる竹を木に接ぎ木する意から、調和や釣り合いがとれないことや、不自然で筋が通らない、条理の通らないことのたとえで、前後不釣合い、不調和なこと」とされますが、これを建築デザインに持ち込んだのがメルス・クローウェル(1953年・オランダ)のアムステルダム市立美術館です。1895年に開館した煉瓦造りの旧館に接して巨大なバスタブのような真っ白い、つるんとしたボックスを接続させています。ここで生まれる質感、色調、形態感の間に生じるデザイン的な電位差が衝撃を生み出します。しかし、この衝撃は不快なものではなく、巧みに整合されたディテールが衝撃を心地よい刺激に変えています。

 「鰯の頭も信心から」と言いますが、この諺の意味は「一旦信じてしまえば、どんなものでもありがたく思えるということ」です。あからさまな技術信仰は意外にもラテン系の建築家に多く、エッフェル塔を設計したギュスターヴ・エッフェル(1832年・フランス)や工業デザインの始祖ジャン・プルーべ(1901年・フランス)、ディテールが美しい構造設計家レンゾ・ピアノ(1937年・イタリア)など、素材選択と強度計算の結果としての形態を追求する、信仰心の高さが特徴です。バックミンスター・フラー(1985年・米国)の細いトラスで構成された「ジオテックドーム」は、最終的に宇宙船地球号に繋がる、一種の終末思想を生み出すまでになっています。

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