埼玉県南西部の入間川、高麗川(こまがわ)、越辺川(おっぺがわ)の流域に広がる林業地で育ったスギやヒノキのことを西川材と呼びます。江戸時代から良質な木材として知られ、住宅や寺院、神社などの建築材として利用されてきました。この地域に「西川」という地名はありませんが、この地方から木材をいかだに組んで、江戸へ流送していたことから「江戸の西の方の川から来る材」を由来に、この地方の材を「西川材」、その生産地を「西川地方(西川林業地)」と呼ぶようになりました。
経済的な発展と共に広がっていく、江戸の街のインフラを造り出して行ったのが西川材といえます。江戸大火のときの復興用材として、関東大震災の際には木材需要が殺到し、これらのことが江戸~東京へと発展する時代に、西川林業地の認知度を高めました。現在の西川林業地は都心から40~60キロ圏に位置し、飯能市・日高市・毛呂山町・越生町の4市町にまたがる2万457ヘクタールの森林地域で、標高400~1200メートルの山に囲まれています。地域の大部分は秩父古生層からなる褐色森林土で、平均気温12~14℃、平均降水量1700~2000ミリ、降雪は年3~4回と比較的温暖であり、地質、気候共にスギ・ヒノキの育成に適しています。
西川材の特徴は緻密な年輪幅が見せる美しい木目と艶にあります。加えて、厳しい気候条件で育つだけでなく、冬期の「スギ起こし」(杉の若木の枝や幹が、冬の間に雪の重みで倒れたり曲がったり折れたりしたものを春になってから、ロープを使って真っ直ぐに立て起こす作業)を丁寧に実施することによって、真っ直ぐで加工しやすく、強度と耐久性に優れてた材に育っています。強度の目安となるスギ材のヤング係数(材料の変形しにくさを表す)は、全国平均が70、西川材は80~90となっており、強度の高さが証明されています。























