京萬満夫さんのプロフィール
196×年石川県生まれ。2001年に「金持父さん貧乏父さん」を読んだのを機に、不動産投資を始める。主に都内に新築物件を建てる手法で、サラリーマンをしながら家賃年収8,700万円の規模まで拡大。2013年に長年勤めていた会社をセミリタイヤし、専業大家に。2014年以降は海外不動産への投資をすすめている。
■ 管理会社からの電話の7割は中古物件がらみのもの
――築古物件は検討したことはないのですか?
京萬満夫さん
松田淳さんの本に影響を受けて、安い築古物件を買い、DIYで直して貸そう、と思ったこともあります。実際に、4棟目の中古RCマンションでは、自分でキッチンパネルにカッティングシートを貼ってみたこともありました。でも、やっているうちに虚しくなってしまって・・・。
逆に、新築は手間がかかるのは最初だけで、その手間も苦にならなかったので、自分にはこっちの方が合っていると思いました。私は新築も中古も管理会社に管理をお願いしていますが、管理会社からの電話の7割くらいは唯一の中古RC絡みなんですよ。そのくらい、新築は手がかかりません。売却がスムーズなのもメリットだと思います。
――京萬さんは、コンサルタント会社さんなどを使っていませんよね。素人でも土地から探して新築を建てられるのでしょうか?
京萬満夫さん
新築はやり方がわからないのがデメリットかもしれません。土地の探し方をよく訊かれますが、エリアを絞って相場感覚を身につければ、ネット検索で1,000のうち3つくらいはいい土地が見つかります。私は過去に宅建の勉強をしたので、プランについても、自分でだいたいの予想を立てられます。
その後、知り合いの設計士さんにボリュームチェックをお願いして、OKなら工務店にざっくりとした見積もりを出してもらいます。それで収支が合いそうなら銀行へ打診ですね。あくまでも感覚ですが、新築を一棟完成させるのに、8時間のフルタイムで働いて1カ月分くらいの労力がかかるという感じです。
■ 目標は木造で10%、RCで8%、借地の木造で12%
――2001年に不動産投資をスタートし、ここまで順調に来られた秘訣は何でしょう?
京萬満夫さん
一つ目は、買う前に一生分のお金に関するシミュレーションをしてあったこと。二つ目は一戸一戸、やるべきことをきっちりとやったからです。私の物件は新築が大半ですが、かといって何もしなければ埋まりません。
自分で言うのもなんですが、場所の選定から、外観、間取り、設備など、埋まる物件を造るための研究はかなりしました。例えば木造なら、ロフトと高い天井などの差別化ポイントを必ず作っています。
――シミュレーションが大切ということですが、投資利回りの目安などはあるのでしょうか?
京萬満夫さん
都内の新築の場合、木造なら10%、RCなら8%、借地の木造なら12%を目標にしています。今、一番やりやすいのはRCの8%です。ただ、工事代金がどんどん上がっているので、年を追うごとに難しくなっています。
――これまでに、大きな失敗はありましたか?
京萬満夫さん
うーん、思い浮かびません。新築を造るときに、予想より高くついたとか、近隣トラブルとか、小さな問題はありましたが、不動産が好きなので、苦にならないんですよ。余談ですが、特に好きなのは、ショールームに行って色々な設備を見たり、その中から自分の物件に合った物を選んだりすること。やっぱり新築に向いていますね(笑)。
■ 今後は国内の物件は増やさず、資産を海外にシフトしたい
――家賃収入が給料を上回ってからも、サラリーマンを続けたモチベーションはどこにあったのでしょう?
京萬満夫さん
私の仕事は技術系なんです。大きなプロジェクトの途中、徹夜でがんばってもトラブルが続いて、本当に大変だったこともありました。でも、必死で考え抜いて問題を解決すると、チームの皆が感謝してくれる。それが心の支えになっていました。
それと、海外勤務をしたいという気持ちがあったんです。終盤、チャンスが回ってきたものの、残念ながらエリアが家族の希望と異なり、その夢は叶いませんでした。でも、最後の出向先の会社で英語を学べましたし、海外出張にも多く行けたので、長く勤めてよかったと思っています。
――セミリタイヤ後、不動産投資についての方針はかわりましたか?
京萬満夫さん
これからは、資産を海外へ移していきたいと思っています。それで、リタイヤ1年目には、アジアを多く回りました。国内でこれ以上物件を増やしても税金の負担が増えるだけですし、まだまだ円も安くなると考えているからです。
■ 建てれば建てるほど次の融資が厳しくなる
――もう物件を増やさない理由として、融資が厳しいということもあるのでしょうか?
京萬満夫さん
確かに、都内の新築は積算評価が低いですから、建てれば建てるほど、融資が厳しくなるという面はあります。収益還元法で見てくれるところはある程度まで伸びますが、それでもずっと借りられるわけではありません。まあ、もっと借りようと思えばやり方はあるのでしょうが、そろそろいいかなという感じです。
――投資総額は9億円超ということですが、借金は怖くありませんか?
京萬満夫さん
正直、最初はビクビクでした。でも、実際に運営していく中で大丈夫とわかったので、今は不安はありません。不動産投資をしていることは親しい人にしか打ち明けていないのですが、中には、借金をして不動産投資をしていると話すと、露骨に嫌な顔をする人もいます。
でも、考え方は人それぞれなので、仕方ないと思っています。逆に言うと、不動産投資の仲間とお金のことをざっくばらんに話せる時間は、とても楽しいですし、自分にとっては貴重な時間です。
■ 経済的自立、セミリタイヤという目的では弱すぎる
――これから不動産投資を始める人にアドバイスをお願いします。
京萬満夫さん
何のためにやるのか、を明確にしてから始めることが大切です。経済的自立、セミリタイヤだけでは弱いと思います。目的が決まったら、月々にいくら必要か、週に何時間時間を使えるかなどをクリアにして、投資手法を決めると思いますが、その中に、自分の好きなことを取り入れると、無理なく続けられるのではないでしょうか。
自分にできること、やりたいことを知っておかないと、成功者を見るたびに目移りして、時間をロスしてしまいます。この点をしっかり考えてから始めないと、拡大路線に走って、苦労することになります。
それと、とにかく勉強することが大事。少ししかない優良物件を買えるのは、勉強している人の中でも特にがんばっている人。勉強していない人のところには、絶対に回ってきません。私の周りでも、勉強熱心な人、自分らしいやり方を確立している人が成功しています。
――周りのサラリーマン大家さんに、セミリタイヤをすすめますか?
京萬満夫さん
サラリーマンの仕事が好きなら辞める必要はありません。一度きりの人生ですから、好きなことをするのが一番ではないでしょうか。私自身は今、けっこうヒマでつらいんです(笑)。でも、今後、海外でアパートを建てたいという目標があって、準備を始めたところです。
それと、セミリタイヤ後に東京から沖縄に引っ越し、今はまた別の地方に移ったのですが、これは子供の教育のためであって、ずっと住むつもりはありません。海外なのか、国内なのか、この先、どこに住むかについては、家族で話し合っているところです。こればかりは、私一人の意向では決められません(笑)。いい方向に進むといいですね
前編:第17回 都内に高利回り物件を建てて家賃8,700万円を稼ぐケイマンさん
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