「令和時代の賃貸ビジネス」~コンサルタント沖野元の視点~ 第53回 空き家の現場に宅建業者がいない理由
住宅新報 2024年7月16日 号 12面

6月21日、国土交通省は「不動産業による空き家対策推進プログラム」(以下当プログラム)を策定した。今回はこの内容を踏まえて考察したい。
今年4月、総務省による「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)」が公表された。集計によると2023年の空き家数が900万戸、空き家率13.8%となっている。この内、賃貸用や売却用、別荘などの2次的住宅を除く空き家は385万戸で5年前より0.3%増加している。増え続ける空き家に対処する方法はないのか。ここで注目したいのが宅建業者である。(一財)不動産適正取引推進機構の「令和5年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について」を見ると宅建業者数は全国で13万業者を超え、10年連続の増加になっている。筆者の率直な疑問として、増え続ける空き家に対してこれら全国13万業者はいったい何をしているのか、または何をしてきたのか、ということである。十分な取り組みができていないことは容易に想像できる。宅建業者による空き家再生や流通への取り組みを阻んでいるものは何なのか。
当プログラムの発表と同時に添付された国交省の「参考資料集」に空き家を取り扱うことについてネックとなる理由という宅建業者向けアンケートで一部明らかにされている。アンケートによると「業務の負担に対して、収益性が低いこと」が最も多く、続いて「建物の劣化や不具合等、物件を取り扱うリスクが重いこと」、「通常の仲介よりも現地調査等の手間・時間がかかること」が多い結果となっている。これらをまとめると「空き家を取り扱うのは手間が掛かるしリスクもある。その割には儲からない」ということになる。















