新住まいの「ことわざ」<172> 上棟式がすんでから雨が降ると栄える 松岡英雄
住宅新報 2013年6月25日 号 26面
連載: 新住まいの「ことわざ」
藤沢周平に「驟(はし)り雨」という短編がある。
めぼしをつけた商家に盗っ人に入ろうとした研ぎ職人の男が急に降り出した雨を避けて、八幡神社の軒下で雨宿りをしているところへ、取り分で揉めているばくち打ち2人、いわくありげな若い男女2人、亭主と別れた母娘2人の3組の二人連れが同じように雨宿りに立ち寄り、そこで、それぞれが背負った人生模様を一瞬垣間見せて立ち去る。
とくに3組目の母娘の不幸な境遇に同情した男は、病弱な母を家まで送ってやろうと思い、2人の前に姿を現してしまう。そのときのやさしい気持ちが、男から盗っ人根性を拭い去り、善良な市民に戻らせる。























