裁判によらず、当事者同士の話し合いによってトラブルを解決するADR(裁判外紛争解決手続)。ADRは裁判に比べて、簡易・低廉・柔軟さをもったトラブル解決が可能になるが、これは消費者のみならず、不動産・建築事業者にとっても有益な制度であるといえる。事業者は当事者同士の板挟みとなり時間と労力を浪費していくケースも多くあるが、ここでADRという話し合いによる具体的な解決策を提案することは非常に前向きなことだ。今回は、法務大臣認証機関である(一社)日本不動産仲裁機構が取り扱うADRを実施する「調停人」としての基礎資格となった「太陽光発電メンテナンス技士」のトラブル解決事例について、(一社)太陽光発電安全保安協会の室田正博代表理事から解説してもらう。
太陽光発電メンテナンス技士は太陽光発電に関するオーナーと事業者間のトラブルの相談を受けるケースが多くありますが、今回は事業者から相談を受けたケースをご紹介します。相談を寄せたのはあるEPC事業者です。EPC事業者とは、太陽光発電機器を設置する土地が選定された後の設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の3つを行う事業者を指しますが、この事業者はオーナーから依頼を受けて売電のための段取りを任されていました。しかし、電力会社との連携がうまく取れておらず、当初見込んでいた電力の受給開始日がずれ込んでしまったのです。
本来であれば、日射条件が良く売電価格が高くなる5月からの発電を予定していたのですが、これが8月になったのです。一般的なイメージですと、真夏である8月は日光が強いためより多くの発電ができると考えられがちですが、これは誤りで、実際はパネルの温度が高くなり過ぎて発電量が低くなり、売電額も少なくなってしまうのです。このトラブルについて、事業者はオーナーとの話し合いによる和解を望んでいたのですが、オーナー側の感情のもつれもあり、十分にコミュニケーションが取れない。ここで、太陽光発電メンテナンス技士に間に入ってトラブルを収めてほしい、と相談があったのです。
























