一般財団法人日本不動産研究所47 地域資源を生かす ~まちづくりからインバウンドまで 岡山県矢掛町 古民家再生 空き家群は一つのホテル 国内初のアルベルゴ・ディフーゾ
住宅新報 2019年4月9日 号 12面
岡山県の南西部に位置する、人口約1万4千人の町、矢掛町。岡山駅からは、JRと井原鉄道を乗り継いで、車窓から里山やのどかな田園風景を楽しみながら約1時間、あっという間のローカル鉄道の旅である。
矢掛町は、江戸時代には参勤交代の山陽道18番目の宿場町として栄えた。大名や公家、幕府役人の宿として機能した本陣の「旧矢掛本陣石井家」、本陣を補佐する役目を持つ脇本陣の最後を務めた「旧矢掛脇本陣高草家」は、国の重要文化財に指定されている。それぞれに往時の姿を残し、共に重要文化財に指定されているのは日本国内でも矢掛町だけという貴重な文化資源でもある。二つの施設のほか江戸時代以降の建物も数多く残ったかつての山陽道は、訪れた者を数百年の昔にタイムスリップさせるような魅力溢れる観光スポットである。
町は、歴史的町並みという矢掛町の資源を活かし、観光による賑わいのある町づくりのために官民連携の手法を導入し、古民家の再生事業に着手した。手始めに、昭和初期の古民家を改装し「やかげ町家交流館」を14年2月にオープンさせた。その後、江戸時代及び明治時代の建物を改修し、レストラン、土産物販売、露天風呂を備えた温泉施設を有する古民家ホテル「矢掛屋INN&SUITES」を15年3月に開業した。宿場町として栄えた歴史があるにもかかわらず、皮肉にも矢掛町の宿泊客は伸び悩んできたが、「矢掛屋」の開業により宿泊客も増加した。
























