幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇43 なぜ住宅論が必要か 「住む楽しさ」を知る
住宅新報 2019年5月14日 号 13面
連載: 幸福論的「住宅論」

住文化とは「住むことを楽しむ」こと。そのことを知るためにも、「楽しむ」ということの奥深さを知る必要がある
普通の人は住宅論には余り関心がない。それは衣食住という言葉があるように、住宅もこの豊かな消費社会にあっては当たり前に存在するからだろう。その証拠に住宅購入にも消費税が課されている。 しかし、同じ生活の糧でありながら住宅を買う際はもちろん、借りるにしても衣食に比べ格段に高額な金銭を必要とする。なのに、この国ではファッションや食文化という言葉はあっても、住文化という言葉がなきに等しいのはなぜか。その理由は明白で、我が国では住宅をハードとして捉えることはあってもソフト(文化)として捉えることがほとんどないからである。
住文化とは何かといえば、食文化が食を楽しみ、ファッションが着ることを楽しむことであるように「住むことを楽しむ」ことである。ではなぜ、我が国では「住むことを楽しむ」という文化が育たないのか。それは、住宅価格が庶民にとっては高すぎるからである。特に文化の発信地といわれる東京で、家族4人が親の勤務先に近く、70m2以上の住まいを得ようとすれば、購入にしても賃貸にしても家計を相当圧迫する(あくまでも庶民の話だが)。したがって住むことを楽しむ余裕をもちにくいのである。
住文化の芽生え























