残したい情景~文化的歴史的所産を巡る~ 第14回 山梨県笛吹市 一般財団法人 日本不動産研究所 進む過疎化、失われゆく原風景 山村集落を守る地方創生を
住宅新報 2019年8月6日 号
甲府盆地と富士山の間に横たわる御坂山系の中間部分、富士川の支流芦川の上流にある山里旧芦川村(笛吹市芦川町)、その最上流に上芦川集落がある。谷間を東から西に流れる芦川の北側の斜面に沿って約1キロに渡り形成される集落である。甲斐と駿河を結ぶ古道「若彦路」の要所として設けられた関所を中心に発展し、本道から分岐した急勾配の枝道に特徴的な建物が建ち並ぶ印象的な集落である。
この地域では明治に入ると養蚕が盛んになり、一軒の民家の内で日常生活の営みと繭の生産が行われるようになった。それまでの寄棟造りや、入母屋造りの屋根の妻側(短いほうの壁)を切り上げ、屋根裏を改良し、風や光を取り入れ蚕の生産環境をより良くするための工夫が行われた。首の周りに垂れをおろした兜の形に似ていることから「兜造り民家」と呼ばれている。古いものでは江戸中期に建てられたと推定される兜造りの民家が多く残されている。もともとは茅葺き屋根であったが、現在では殆どが茅葺きの上にトタン等を被せ、窓もアルミサッシに替えて生活が営まれている。また、斜面地を利用するため先人達が石垣を積み上げ開墾した努力のたまものである段々畑がいたるところで見られる。養蚕が盛んになる前はアワ、ヒエ、ムギ、サツマイモなどを作り自給自足生活を送っていたようである。育てる作物は変わっているのだろうが今も段々畑で農作業をする人々の姿が多く見られた。深い山の緑に囲まれ、ひな段に積まれた石垣の上に畑と民家が折り重なるように連なる風景にどこか懐かしい思いを感じる。
張り巡らされた水路
























