点検 不動産利活用 持続可能社会への取り組み 一般財団法人 日本不動産研究所 第37回 世界遺産の石見銀山がある 島根県大田市 歴史ある景観・風情を守る
住宅新報 2021年2月2日 号 12面
連載: 点検 不動産利活用
島根県のほぼ中央に位置する大田市大森町の山間にある石見銀山が、世界遺産に登録されたのは07(平成19)年7月である。
石見銀山は、戦国時代から江戸時代前期にかけて栄華を誇り、最盛期には世界の産銀量の約3分の1を産出したといわれる日本最大級の銀山である。この銀山では、採掘から精錬まですべての工程が行われており、間歩(まぶ)と呼ばれた坑道や精錬工房・住居の跡等が、今も当時のたたずまいを残している。幕府直轄の天領であった当時、山あいに代官所が置かれ、武家屋敷や大きな商家が並び、一般の家、寺社が密集・混在した都市構造になっており、封建時代としては珍しい土地利用が行われていたのが、石見銀山への入り口ともなる大森町の町並みである。
1987(昭和62)年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたその町並みは、古くて立派な建物が並び、人通りは少ないものの、そのぶん静かな落ち着きがあった。民家に交じる飲食店舗や雑貨屋等には、歴史を感じさせる古い建物が再利用されており、当時から、ひっそりとした風情を地域住民がみんなで大事に守っている印象があった。古民家の利活用の動きは、世界遺産登録のずいぶん前から、一つの民間企業が中心となって行われてきた。























