都心の物流不動産 都市型マルチパーパス倉庫への進化 第8回 消費者立地における新たな物流ニーズ【前編】 都市型倉庫への回帰 (株)イーソーコ総合研究所代表取締役 出村亜希子
住宅新報 2021年11月16日 号 3面

出村氏
都心の物流不動産の現状で外せないのが、都心・消費者立地への回帰傾向です。ここ数年、物流不動産という言葉が経済紙などの紙面をにぎわせることが多くなりましたが、扱う物流施設はいわゆる大規模高機能型の施設が中心。集めた資金を投入して高速道路の結節点などに広大な物流適地を確保し、賃貸して収益を得て分配、あるいは物件を売却して利益を得る仕組みです。こうした大規模施設は水道でいえばパイプを太くすることで流量を増やすわけです。しかし一方で、物流網の細分化、多様化も求められるようになってきています。
例えば、インダストリー4.0(ITを軸とした第4次産業革命)が普及した際に求められる物流網はどのようなものでしょうか。各地から集めた膨大な原料を大規模工場で加工・生産し消費地へ送るといった従来のマス・プロダクション方式であれば、大規模物流施設が適切でしょう。しかし、小ロットだけ生産したものを消費者へ直接送る、マス・カスタマイゼーションへの対応が可能かというと、大規模高機能型の施設は必ずしも最適とは言い切れないのです。インダストリー4.0では、モノの流れは少量で、しかも毎回同じ経路をたどるとは限りません。パイプは細くてもあらゆるところへ張り巡らされ、指定されたモノをさばくために最適化されていなければならないのです。
コロナ禍で変わる物流網























