「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第7回 タワマン なぜ定期借家契約が多いのか
住宅新報 2022年8月23日 号 12面
今年の5月にアットホームから「定期借家物件の募集家賃動向(21年度)」がリリースされた。今回と次回のコラムはそのデータを分析するものとしたい。私の会社では管理物件の半数以上を定期借家契約(以下定借)による運用としている。また、『最強の定期借家入門』(プラチナ出版)という共著もあり、定借の基礎と応用についての執筆や講演もしていることから、定借の動向については常にウオッチしている。
首都圏の賃貸マンションに占める定借物件の割合を見ると、全体で東京23区が最も多い。また、東京23区では全面積帯においての割合もわずかながら前年よりも伸びている。面積帯で見ると特に70m2超(大型ファミリー)では26%と群を抜いている(図表参照)。この大型ファミリーが全エリア・面積帯での定借割合が最も高いというのは傾向としてずっと続いているものである。これについてアットホームでは「資産価値を守る観点」から「貸主の意向を強く反映した契約になりやすい」ためと分析している。また、同調査による別のデータを見ると面積帯別物件割合で東京23区のマンション全体で70m2超のものは約3%と少数。また、大型ファミリーの定借物件は23区の中でも港区に約3割と集中していて、更に20階建て以上では湾岸エリアの8割を占めているとしている。
このことを私なりに分析したい。都心のタワーマンションの賃貸では、定借が多いということである。タワーマンションで70m2超ともなると相応の高級物件になり、賃料も高額になる。オーナーが借主を選び、問題ある借主とは再契約せず期間満了で退去させることのできる定借により資産を守りたいのも分かる。区分なら出口(売却)を考えて定借にするということもある。また、これらは希少性とそれに伴う賃貸市場での優位性を備えており、定借でも借り手が付きやすいということもあろう。その点が定借の導入しやすさにつながっている。























