彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇207 フレキシブルオフィス市場 近年はペースダウン 本格成長の踊り場か
住宅新報 2026年1月6日 号 15面
連載: 彼方の空
フレシキブルオフィスが注目されている。日経リサーチが24年に実施したテナントアンケートよると、今後2~3年の間におけるフレシキブルオフィスの利用方針について、「利用を増やす・始める」は22.1%で、「席数や面積は変えずに利用を続ける」の7.4%を合わせると約3割に達している。「利用を減らす」は2.9%と少なく利用しているテナントの満足度は高そうだ。ただし、「今後も利用する予定はない」との回答が67.6%と7割近くを占めていることは気になるところ。
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CBREの調査では東京のフレシキブルオフィス市場規模(総面積)は24年末時点で26万7000坪と15年の3.5倍に拡大している。しかし対前年比成長率を見ると18―20年は25~30%と爆発的伸びを示していたが、21年は10%、22年4%、23年3%、24年2%と近年急激にペースダウンしている。
この要因について一般的には(1)コロナ禍で急増した一時的需要の落ち込み(2)本格的オフィス用途の復活(3)都心ビルの空室率低下でフレシキブルオフィスに提供できるスペースの減少(4)日本はもともとスタートアップや起業家が育ちにくい――などの分析がある。
そうした中、運営するレンタルオフィスを今後10年間で現在の約200拠点から500拠点に拡大する計画を進めている会社がある。フレシキブルオフィスの最大手、日本リージャス(西岡真吾社長)である。
同社の業績推移を見るとこの10年間、対前年比で一貫して高い成長率を続けている。24年は拠点数で7%、面積で7.6%、25年(見込み)はそれぞれ8.7%、10.4%である。マーケット全体の伸びが緩やかになり始めている今、なぜこのように高い成長率を見せているのだろうか。
同社の強みはその圧倒的な拠点数と言われている。しかも拠点が豊富なだけでなく、それらが多彩なロケーションにあって規模も小・中そろっている。例えば東京の場合、大手町を中心に、日比谷(行政エリア)、六本木(大型ビル内)、羽田(空港施設内)、大宮・厚木・立川・町田(郊外型)、横浜(商業施設内)、武蔵小杉(住宅街)といった具合である。
さらに同社が採用しているメンバーシップ制度も好評だ。起業家などの個人が会員として登録すると国内49都市の200拠点はもちろん、リージャスグループが運営する全世界4000拠点の利用も可能となる。法人が5~10人用の個室利用契約を結ぶとその人数分のメンバーシップは無料となる。
働き方改革に自信
それにしても今後10年間で2.5倍に拠点数を増やすとなれば150%増、年平均15%の成長を果たさなければならない。その強気の裏付はどこにあるのだろうか。注目すべきは西岡社長の次のような言葉である(いずれも住宅新報・12月16日号4面記事より)。
「既存のオフィスとレンタルオフィスに対する需要がトレードオフの関係にあると見るのは間違い。両者は完全に用途を異にする市場で、今後は〝棲み分け〟が更に進んでいく」「コロナを契機に働き方というファンダメンタルズが大きく変わったことは確かで、これは景気循環に左右されない不可逆的動きだ。更に働き方の進化は進む」
要するに、コロナ禍を機に始まったリモートワークや、その後多くの企業で採用されるようになったハイブリッド型勤務(週に数日出社)など働き方の変化、働くことに対する価値観の変化は決して一時的なものではなく、また本社回帰の傾向とも関係なく、今後も着実に定着していくという確信である。そして、その確信の背景にはスタートアップや起業家が日本でも今後増えていくという読みがあるのだと思う。だとすれば現在の全体的ペースダウンは、今後の本格的成長を前にした〝踊り場〟と見るべきなのか。
























