記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(7月7日~7月13日)

Pick Up!
- 三井不の御茶ノ水23階建てなど高層・大規模マンション記事が上位に複数
- 制度整備を追い風に「相談」重視の空き家対策進む
- 東急不が米研究機関と連携、世界水準の科学技術産業基盤の構築図る
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。
今回のランキングでは、高層・大規模などマンション関連記事が10件中4件(複合街区開発も含めれば5件)を占めており、タワーマンション等開発への読者の関心の高さを改めて感じさせる結果となりました。
そのマンション記事の中でも、比較的人気が高く4位となった「三井不動産レジデンシャル、文京区でタワマン267戸 最高価格8億円台(2026/7/7配信)」を初めにご紹介します。この記事は、本紙掲載の取材レポート「三井不レジ 文京区でタワー267戸 全戸1億円以上、最高8億円(2026/7/14号)」の先行配信記事です。分譲マンション価格の著しい高騰が続く中でも、同物件はグロス価格だけでなく、記事中の予定価格から大まかに逆算した限り坪単価も高水準と推察され、見出しの数字が読者の目を引いたのは確かでしょう。一方で、御茶ノ水駅徒歩7分のアクセス良好かつ希少な立地、豊富な共用施設に加え、新たな試みとなる「子供の教育支援」などソフト面のサービスも充実化させており、価格への納得感を高める付加価値化を図っていることもあって、広告の反響は高い様子です。引き渡し前の転売は規制していますが、当然、将来的なリセールバリュー及び資産価値も人気の背景にあると考えられます。同物件が周辺の新築・中古相場にどのような影響を与えるか、という意味でも注目に値する物件でしょう。
次は紙面から、1面トップ記事でランキング8位の「空き家対策、民間連携で加速 制度改正が追い風に 管理不全リスク高まり対応急務(2026/7/7号)」です。23年に施行された改正空家等対策特措法を始め、不動産登記法等の改正(24年施行)による相続登記義務化、宅建業法告示改正(同)による空き家取引の媒介報酬特例など、空き家の発生抑制や流通促進へ向けた複数の制度が整備されてからある程度年月が経ちましたが、最近になって、民間事業者による空き家関連サービスが増加しているという現状を追いました。背景としては、法令改正によるインセンティブの周知が進み、宅建業者等による事業化への意欲が高まっている可能性のほか、義務化された相続登記の期限や、「管理不全空家」認定による固定資産税の住宅用地特例解除など、空き家所有者にとってのリスクが具体化・顕在化してきたタイミングということも想定されます。とはいえ現実的には、不慣れな所有者が迅速に最適な空き家対策を講じることは極めて困難。そこで、空き家所有者が頼りやすく、幅広いケースに対応可能となるよう工夫した相談サービスが複数立ち上がっている様子です。更に、建物改修や維持・管理継続のサービスも見られるなど、売買仲介に限らず幅広いチャネルで空き家相談を収益ビジネスにつなげる動きが進んでいます。とはいえ、やはり重要なのは、滞留している物件と市場をつなぐ「入り口」の存在です。空き家の流動性を一層高めるためには、今後も所有者ニーズに即した「入り口」を拡大していく必要があり、それは不動産関連事業者のビジネスチャンスであると同時に、業界に対する社会的要請とも言えるでしょう。
最後に取り上げるのは、7位にランクインした「東急不動産と米研究機関、『グローバル・スタートアップ・キャンパス構想』で連携(2026/7/9配信)」です。同構想は先端科学技術及びスタートアップ振興、イノベーション・エコシステム構築等へ向けた国の施策。巨額の投資が必要な一方、事業化や社会実装の実現が不透明なディープテック分野を対象に、研究開発や資金調達を支える環境を整備し、我が国の科学技術産業の発展へつなげるというビジョンを描いています。今回、東急不は米国の独立系研究機関・SRIと連携。同機関による国際研究及び事業化支援プログラムを、ワークプレイスや宿泊施設といった「場」の提供により支援するという構図です。AIなどデジタル分野の目覚ましい発展の中、一般にはやや見過ごされやすい部分があるかもしれませんが、研究開発やそれを担う人々が活動する「場」は、イノベーション創出において極めて重要な役割を果たします。もちろん不動産業界はその事実を熟知しており、大手ディベロッパーはそれぞれスタートアップ支援・連携にも力を入れていますが、東急不は渋谷エリアでの豊富な実績もあって、特にそうした取り組みに定評がある企業の一角と言えます。今回のSRIとの連携は、プログラム参加企業等に直接アプローチできるだけでなく、国際的な研究開発機関やスタートアップとのネットワークを拡大すると共に、同構想を主導する内閣府との関係強化にもつながる取り組みです。先端科学技術産業の発展と自社の成長とのリンクを目指し、将来を見据えた挑戦的な投資と考えられます。






















